
先生、知財戦略って
何から手をつければよいでしょう…?



まずは全体像の把握が肝心。
羅針盤なしに航海はできんよ。



全体像…ですか?
どこを見れば分かりますか?



この記事で5つのステップを解説しよう。
読んでみるといい。
企業の成長を支える知的財産戦略。
その立案は、単なる特許取得に留まらず、事業全体を見据えた羅針盤となるべきです。
本記事では、知財戦略立案の全体像を5つのステップで解説します。
原則を学び、内外の状況を分析し、将来を描き、具体的な行動を定め、最後に仲間を動かす。
この一連の流れを理解することで、戦略立案の道筋が明確になり、関係者を巻き込みながら力強く推進していくための基盤が築けます。
知財担当者から経営者まで、戦略立案に関わる全ての方に必読の内容です。
✓ 知財戦略立案のための全体像
Step 0: 原則を学ぶ
知財戦略を立案するにあたり、まずは「戦略」というものの、「原則」を学ぶことが重要です。
何事も、ものごとの本質を掴んでおくことで、理解が早くなります。
そして、様々な状況においても、臨機応変に対応ができるようになります。
「戦略」に関しては、古今東西数多くの研究がなされてきました。
その中で、代表的な人物や書籍を元に、特に重要な格言や内容を抽出し、まとめました。
例えば、以下のようなものがあります。
独占こそが、大きな利益を生む。
「ZERO to ONE」ピーター・ティール
弱者は、まず一点でNo.1になれ。
「ランチェスターの法則」フレデリック・ランチェスター
今回、これまで私が読んできた書籍の中から、知財戦略に特に役に立ちそうな戦略原則を12個ピックアップしました。
この12個の原則を学び、しっかりと心に焼き付けておくことで、知財戦略立案のベースが整います。
ぜひこちらの記事を参照ください。


Step 1:内部を知る
「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」
という孫子の言葉があります。
何かを行おうとするときは、まず自分や相手のことをよく知ることが重要です。
知財戦略を立案する上で、まずは、自社の事業、自社製品・サービスのことを十分に理解することから始めましょう。
今回、知財戦略を立案する上で、「内部を知る」というステップを、以下の2つの項目に分けました。
Step 1-1;自社事業の現状と目論見を理解する
Step 1-2;自社の知的財産状況を理解する
自社の事業の現状と将来、並びに知的財産の状況を調査することで、戦略立案に必要な内部情報をインプットすることができます。
調査により得られた各種情報は、自社にどのような点に強みがあり、どのような点に弱みがあるのか、などを分析するきっかけとなるでしょう。
詳しくは、以下の記事を参照してみてください。


Step 2:外部を知る
「内部」を知るとともに、「外部」を知ることも重要です。
自社の事業が成功するか否かは、外部要因にも大きく左右されます。
そのため、知財戦略を立案する上で、外部環境やプレイヤーの状況も十分に理解しましょう。
今回、知財戦略を立案する上で、「外部を知る」というステップを、以下の3つの項目に分けました。
Step 2-1:外部環境の調査
Step 2-2:業界動向の調査
Step 2-3:他社知的財産の状況調査
政治や経済の状況、業界内のルールやプレイヤー、並びに他社が保有する知的財産の特徴などを調査することで、戦略立案に必要な外部情報をインプットすることができます。
調査により得られた各種情報は、自社にどのような機会があり、どのような脅威があるのか、などを分析するきっかけとなるでしょう。
詳しくは、以下の記事を参照してみてください。


Step 3:将来を描く
「内部状況」、及び「外部状況」という、現在の状況を把握した後に行うことは、「将来を描く」ことです。
自社や自社の事業が、将来どのような姿でありたいのか。
これを描くには、現在の状況をもとにした「フォアキャスト」的な思考もあれば、「バックキャスト」的な思考もあるでしょう。
いずれにせよ、将来のありたい姿という方向性なしには、知財戦略を作ることはできません。
今回、知財戦略を立案する上で、「将来を描く」というステップを、以下の3つの項目に分けました。
Step 3-1:自社の強みと弱みの把握
Step 3-2:事業の方向性を描く(SWOT、クロスSWOT分析)
Step 3-3:ありたい姿と課題の把握
戦略は、自社の強みをベースに考えるべきです。
そうすることで、他社優位性を有し、事業を大きくすることができます。
また、強み、弱み、機会、並びに脅威をもとに、今後の方向性を描くこともできるでしょう。
それらの状況をもとに、具体的なありたい姿を特定し、その実現を行う上での課題を特定するとよいでしょう。
より詳しくは、以下の記事を参照してみてください。


Step 4:行動を決める
ありたい姿と課題が特定されたら、次は、その課題を解決するための具体的な行動を定めていく必要があります。
ありたい姿が画に描いた餅とならないよう、実際に行うべき行動まで考えて落とし込むことで、実際に動くことができます。
今回、知財戦略を立案する上で、「行動を決める」というステップを、以下の4つの項目に分けました。
Step 4-1:競争相手と共創相手の選定
Step 4-2:戦術立案の考え方を知る
Step 4-3:戦術を立案する
Step 4-4:具体的な目標・成果の明確化
競争相手を選定することで、自社の事業のベンチマークを作れたり、切磋琢磨して成長できたりします。
また、共創相手とともに事業を行うことで、自社の弱みを補えたり、相乗効果で成長できたりします。
その上で、課題を解決していくための複数の戦術を立案し、具体的な目標・成果を設定することで、具体的に行うべき行動が明確となっていきます。
より詳しくは、以下の記事を参照してみてください。


Step 5:仲間を動かす
Step 4までで、ありたい姿とそれを実現するための戦略・戦術、具体的な目標が設定され、実際に行動できる状態まで整ったことと思います。
最後に行うことは、「仲間を作り、動かす」ことです。
自分ひとりでは、到底時間が掛かるようなことも、会社の関連者にも協力してもらうことで、容易に早く完了することができます。
そのためには、これまで作ってきた戦略を、関連者にプレゼンテーションを行う必要があります。
納得性の高い内容を、わかりやすく伝えることで、「この戦略に協力したい!」と思ってもらえるようにしましょう。
より詳しくは、以下の記事を参照してみてください。


まとめ
知財戦略立案は、原則学習から始まり、内部・外部環境の分析、将来像の描画、行動計画の策定、そして仲間を動かすという5つのステップで構成されます。
全体像を把握することで、戦略の各要素が有機的に繋がり、効果的な戦略立案が可能となります。
本記事が、皆さまの知財戦略立案の一助となり、事業の成功に貢献することを願っています。
各ステップの詳細については、関連記事も併せてご参照ください。
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