※本ページにはプロモーションが含まれています
知的財産は、企業にとって重要な経営資源の一つです。
特許、意匠、商標、著作権など、知的財産を適切に獲得、管理、及び活用することで、企業の競争力強化やイノベーション創出に貢献できます。
そのため、企業の知財部門で活躍する人材、いわゆる知財パーソンには、高度な専門知識と実務能力が求められます。
本記事では、知財パーソンがキャリアアップと実力向上を目指す上で、取得を検討すべき知的財産に関する資格に焦点を当て、その意義や勉強法を徹底解説します。
知的財産に関する資格取得は、自身のスキルアップだけでなく、企業における知財戦略の推進にも大きく貢献するでしょう。
なぜ今、知的財産に関する資格取得が重要なのか?
グローバル経済の進展に伴い、企業間の競争はますます激化しています。
その中で、知的財産は企業の競争優位性を確立するための重要な武器となります。
近年、知的財産を戦略的に活用する「知財戦略」の重要性が高まっており、企業は知的財産を経営資源として積極的に活用するようになってきました。
このような状況下で、知的財産に関する専門知識を持つ人材の需要は増加の一途を辿っています。
知的財産に関する資格取得は、自身の専門性を客観的に証明する手段となり、キャリアアップや転職において有利に働くことは間違いありません。
また、資格取得を通して得られる知識は、実務においても大いに役立ち、企業における知財活動の推進に貢献できるでしょう。
知的財産に関する主要な資格
知財パーソンが取得を検討すべき資格はいくつかあります。
本記事では、以下の4つの資格について詳しく解説します。
- 2級知的財産管理技能士
- 1級知的財産管理技能士
- AIPE知財アナリスト
- 弁理士
2級知的財産管理技能士
2級知的財産管理技能士とは
知的財産管理技能士は、知的財産に関する知識・技能を評価する国家資格です。
2級は、知的財産管理に関する基本的な知識・技能を有し、定型的な業務を適切に遂行できるレベルとされています。

この資格を取得する意義
2級知的財産管理技能士の資格取得は、知的財産に関する基礎知識の習得に役立ちます。
知的財産権の概要、特許・実用新案・意匠・商標・著作権などの各権利に関する基礎知識、契約やライセンスに関する知識などを体系的に学ぶことができます。
これらの知識は、知財実務の基礎となるため、知財部門に配属されたばかりの方や、これから知財分野に進みたいと考えている方にとって、非常に有益です。
そして、最初にこの資格を取得することで、知財パーソンとしての自信をつけることができます。
この資格を取得するための勉強法
2級知的財産管理技能士の試験は、学科試験と実技試験で構成されています。
学科試験では、知的財産に関する基本的な知識が問われ、実技試験では、事例問題を通して実務能力が問われます。
この試験の合格率は、40%程度で、必要な勉強時間は50時間程度といわれています。
そのため、一定程度の難易度があります。
私自身も、知財パーソンになりたての頃受けましたが、2回目の受験で合格することができました。
勉強法としては、まず公式テキストや過去問があるのですが、私の経験上、それのみをやっていても合格はできません。
公式テキストのみでは、かなり情報が不足しています。
また同じ問題はほぼ出ないため、過去問のみでは、勉強するためのツールとして十分ではないように思います。
私自身は、こちらのテキストを用いて勉強しました。
このテキスト3冊を徹底的に読み込み、学び、覚えることで、結果として余裕をもって合格することができました。
過去問は、実力を測るのに使うとよいです。
一定程度学習したのちに、過去問で実力試しをするとよいでしょう。
知的財産教育協会のウェブサイトでは、過去問題や試験情報が公開されているので、参考にすると良いでしょう。
知的財産教育協会のウェブサイト上の過去問は、答えはあるものの解説はありません。
解説も必要な場合は、市販のものを購入して使用するとよいでしょう。
私自身は自学習で合格できましたが、自分では勉強をさぼってしまう、とか、教えてもらいながら学びたい、という方は、口座を受講してもよいかもしれません。
(出典:スタディングhttps://studying.jp/chizai/about.html)
1級知的財産管理技能士
1級知的財産管理技能士とは
1級知的財産管理技能士は、知的財産管理に関する高度な知識・技能を有し、複雑な業務を適切に遂行できるレベルの国家資格です。
2級に比べ、より高度な専門知識と応用力が求められます。
1級知的財産管理技能士には、特許専門業務、ブランド専門業務、コンテンツ専門業務、の3つの種類があります。
私自身は、特許専門業務に関する資格を取得しましたが、特許専門業務の対象者像として、以下のように設定されています。
知的財産分野のうち、特に特許に関する専門的な能力がある。具体的には、企業等において、特許に関する戦略、法務、リスクマネジメント、情報・調査、国内権利化、外国権利化、契約、エンフォースメント(権利行使)、価値評価・資金調達に関する深い専門的知識を有し、業務上の課題の発見と解決を主導することができる技能がある。
一般社団法人 知的財産教育協会
この資格を取得する意義
1級知的財産管理技能士の資格取得は、高度な知財実務能力の証明となります。
特許戦略、商標戦略、知財契約、訴訟対応など、より専門的な知識を習得することで、企業における知財戦略の立案・実行に貢献できるようになります。
また、社内外の関係者との円滑なコミュニケーションを図るための高度なコミュニケーション能力も求められます。
この資格を取得することで、社内における自身の知財パーソンとしての地位が高まります。
また、他部門とのやり取りにおいても、自信をもって発言、提案できるようになります。
さらに、1級知財技能士は、名刺の肩書としても記載する意義のある資格です。
私自身も、この資格を取得したときに、やっと知財パーソンとして一人前になれたと思いました。
また、知財パーソンとして、一つ大きな自覚と自信を得られたことを覚えています。
周囲の人も、この資格を取得したことで自信がつき、業務に対する意識が大きく変化している人が多くいました。
この資格を取得するための勉強法
1級知的財産管理技能士の試験は、2級と同様に学科試験と実技試験で構成されていますが、試験範囲はより広く、難易度も高くなります。
勉強法としては、まず2級の知識を確実に理解していることが前提となります。
その上で、より専門的な書籍や論文等を読み、知識の幅を広げることが重要です。
また、事例研究や実務を通して応用力を養うことも大切です。
この試験の合格率は、2~8%程度で、必要な勉強時間は600時間程度といわれています。
そのため、相当の難易度があります。
私自身も、3回目の受験で合格することができました。
この試験は、年に1回しかありませんので、2年以上要したことになります。
勉強に用いた教材は、私の頃は公式テキストなどは販売されていませんでした。
そのため、勉強法を研究されている「知財経営研究社」が販売されていたものを購入し、学びました。
当時は、それ位でしか勉強法がありませんでした。
内容としてはかなり充実しており、これをしっかり勉強することで、着実に合格を目指せるものだと思いました。
大事なことは、戦略的に勉強をするということです。
1級で知っておくべき情報は、膨大です。
そのため、闇雲に勉強をするのではなく、試験時期に照準を合わせて、適切な勉強を適切な時期に行う必要があります。
何か一つの問題集を行えばよいというものではなく、自身で方々から情報を収集して勉強する必要があります。
例えば、アメリカの特許法については、私は別途専門書を購入して勉強しました。
その中で、過去問も一つの学習ツールですが、同じ問題が出ることは期待しないほうがよいでしょう。
過去問を解く意義やその時期も考えて勉強を行う必要があります。
過去問は、知的財産教育協会のWebページからも確認できますが、回答の解説はありません。
解説が欲しい場合は、書店等で購入したものを使用するとよいででしょう。
私も、書店やAmazonなどで販売されていましたので、一定程度勉強したのちに実力を測るものとして使用いたしました。
AIPE知財アナリスト
AIPE知財アナリストとは
AIPE知財アナリストは、一般社団法人知的財産教育協会(AIPE)が認定する民間資格です。
知的財産情報を分析し、経営戦略に活用するための能力を評価する資格です。
すなわち、知財アナリストとは、「経営活動と知的財産活動を結び付けられる人財」「知的財産の価値を評価できる人財」といえます。
この資格を取得する意義
AIPE知財アナリストの資格取得は、知的財産情報を分析し、経営戦略に活用する能力を証明します。
特許マップ分析、競合分析、技術動向分析など、高度な分析手法を習得することで、企業における知財戦略の立案・実行に貢献できるようになります。
近年、知財情報を経営に活用する「知財インテリジェンス」の重要性が高まっており、AIPE知財アナリストの資格は、そのようなニーズに応えるものです。
この資格を取得するための勉強法
AIPE知財アナリストの資格取得には、AIPEが実施する研修を受講し、試験に合格する必要があります。
研修では、知財分析に関する理論や手法だけでなく、事例研究を通して実践的なスキルを習得できます。
AIPEが実施する研修自体は、しっかりと時間を確保し、内容を一つずつ理解していけば、問題なくクリアすることができると思います。
研修期間は、概ね3か月程度です。
費用は、約13万円~18万円程度要します。
最も大変なのは、最終試験です。
研修で学んだことを元に、IPランドスケープの手法を使ってレポートを作成するのですが、これには十分な時間と労力が必要です。
じっくりと腰を据えて、本気で取り組みましょう。
この研修と、最終レポートの作成をとおしてで学んだ知識と経験は、実務においても大いに役に立ちます。
私自身も仕事で知財戦略を立案する際、ここで学んだことを頻繁に活用しています。
そして、同僚や部下に知財戦略を教える際にも、役に立っています。
弁理士
弁理士とは
弁理士は、知的財産に関する専門家として、知的財産権取得のための明細書等の作成、知的財産関連の契約作成・確認、特許庁への手続代理、知的財産関連の訴訟への関与、知的財産に関する相談・鑑定などを行う国家資格です。
弁理士は、いわば知的財産のスペシャリストといっても過言ではないでしょう。
この資格を取得する意義
弁理士資格は、知的財産に関する最高峰の資格と言えます。
弁理士として登録することで、特許、実用新案、意匠、商標に関する出願代理、審判請求代理、訴訟代理など、幅広い業務を行うことができます。
企業内弁理士として活躍する道もありますし、特許事務所を開業することも可能です。
また、弁理士資格を有することで、社外からの信頼も高まり、人的ネットワークも広がりやすくなります。
それにより、知人の増加、講師の依頼、委員会活動や会派へのお誘いなども増えます。
この資格を取得するための勉強法
弁理士試験は、短答式試験、論文式試験、口述試験の3段階で構成されており、非常に難易度の高い試験です。
合格率は、6~10%となっています。
勉強時間の目安は、3000時間です。
3000時間!
と驚く方もいるかと思いますし、私も当初本当かなと思っていました。
もちろん、そんなに時間をかけなくとも、すんなりと合格できる人もいます。
そして、予備校等の宣伝でも、1発合格した人の合格体験記なんかもあります。
しかし、それは特殊な事例だと思ってみたほうが良いです。
やはり、一般的な人であれば、3000時間勉強をして合格できるものと思っていたほうが良いです。
実際に私が合格するまでに要した時間も、振り返ってみると3000時間程度要しました。
最初私は、独学でできないかと思い、過去問や参考書を買って、自学習をしていました。
しかし、全く歯が立たず、結局予備校で学ぶことにしました。
予備校の1年目は、Web講座を行っていましたが、Web講座だと、
「あとでやればいいや」
と思ってしまい、結局十分な勉強ができませんでした。
また、先生の教え方の相性も良くありませんでした。
そのため、予備校2年目からは、どの先生から学ぶかもしっかり考え、かつ、直接予備校に通って受講することにしました。
そうすると、点数も上がってきて、徐々に学んだことが身についている実感がありました。
そうやって、予備校に通って3年目に、一次試験から三次試験まで、一気に合格できました。
やはり、私のおすすめの勉強法は、教えてもらう先生を選び、予備校に直接通って勉強することです。
ちなみに私は、一次試験、二次試験はLECで学び、三次試験は、TACで学びました。
私は先生や講義との相性から、そのようにしましたが、皆さんもご自身の状況に合わせて、勉強法を検討されるとよいと思います。


まとめ
本記事では、知財パーソンが取得を検討すべき知的財産に関する資格について解説しました。
それぞれの資格には、取得する意義や勉強法が異なります。
自身のキャリア目標やスキルレベルに合わせて、どの資格を取得するか検討すると良いでしょう。
知的財産に関する資格取得は、自身のスキルアップだけでなく、企業における知財戦略の推進にも大きく貢献します。
ぜひ、資格取得を通して、自身のキャリアをさらに発展させてください。