「特許調査」をしたいと思っているんだけど、
どのようにすすめたらいいのかな?
一口に特許調査と言っても、
その目的によって、内容や方法も変ってくるよ。
調査の目的によって、行う調査の種類も変ってくるんだね。
具体的にどんな種類があって、どのような方法で行うの?
そうだね。
今回は特許調査の種類や内容、方法について説明していくね。
特許に関わる方が最初に直面するのが、「特許調査」ではないでしょうか。
今どのような特許が出ているかが気になったり、
上司や他の部門の方に「特許を調べておいて」と頼まれたりするかと思います。
ここでは、特許調査の種類と内容、あわせて、その方法についてお伝えしていきます。
✓ 特許調査の種類
✓ 目的に合わせた、各種調査の選び方
✓ 各種調査方法の概要
0. 特許調査の種類
特許調査には、大きく以下の種類のものがあります。
- 特許クリアランス調査
- 先行技術調査、出願可能性調査
- 定期調査、ウォッチング調査
- 情報提供、無効化資料調査
- 特許MAP作成、IPランドスケープ用調査
言葉を見て、イメージが付くものもあると思いますし、聞いたことのない用語もあるかもしれません。
一つずつ詳しく見ていきましょう。
1. 特許クリアランス調査
「特許クリアランス調査」とは、これから行おうとしているサービスや商品の製造販売が、他者の特許権を侵害していないことを確認するために行う調査です。
多くの時間や労力をかけて作った商品やサービスを、いざ提供しようとしたときに他者の特許を侵害していたとなると、大変ですよね。
そのため、あらかじめ関係する特許がないかを調べておく必要があるのです。
仮に関連度の高い特許があったとしても、早期に見つけることができれば、対応方法も考えられます。
例えば、その特許権の範囲から外れるように設計する、とか、ライセンスの可能性を探るとか。
他には、異議申立てや無効審判を行って、権利をつぶす、あるいは減縮するという方法もあります。
また、まだ権利になっていない状態であれば、情報提供を行って、権利化を阻止するという方法もあります。
いずれにせよ、早めに調査を行っておくに越したことはないのです。
特許クリアランス調査は、1度ではなく、複数回行う場合もあります。
商品企画から、実際の商品販売までの期間が長い場合、その間に特許になったり、新しく公開されるものもあります。
そのため、複数回調査を行うことで、他者の特許を侵害しない様に細心の注意を払うこともあります。
詳しくは、こちらの記事も参考にしてみてください。
2. 先行技術調査、出願可能性調査
「先行技術調査」とは、特定分野における、調査時の「技術水準」を知るために行う調査です。
必ずしも特許に限った話ではありませんが、特許は、出願すると1.5年で、その出願内容が公開されます。
そのため、公開された特許の内容を確認することで、どのような技術が世の中で知られているのか、つまり、技術のレベルを確認することができるのです。
では、この公開されている技術を知ることで、何ができるのでしょうか?
一つは、今から特許出願しようと思っている発明が、特許になる可能性があるかを確認できます。
特許として登録されるためには、少なくとも、「新規性」、つまり、世の中で公に知られていないことが必要です。
そのため、先行技術調査を行うことで、出願を考えている発明に新規性があるかを確認することができます。
もう一つは、新しい発明を生み出すためのヒントにすることです。
先行技術調査を行うことで、世の中の様々な技術を知ることができます。
もちろん、同じ内容の発明を特許出願しても、特許にはなりません。
しかし、過去の技術を参考にすることで、よりよいアイデアを生み出すヒントにすることは可能なのです。
詳しくは、こちらも参考にしてみてください。
3. 定期調査、ウォッチング調査
「定期調査」とは、ある特定のテーマや分野について、どのような特許が出されているのか、出願された特許がどのように審査をされ、特許化されたのか、又はされなかったのかを、定期的に確認する調査です。
自社の事業領域であったり、市場参入を考えている領域について、他社の動向を常に把握しておくことは大切です。
気付かないうちに、いつの間にか他社に特許で包囲されていた、なんてことが起こっては、自社の事業が不利になってしまいます。
また、自社の事業に特に影響の高い特許出願が他社からなされた場合、それが特許となるか否かは気になるところです。
そのため、特定の出願についてウォッチンを行い、特許化されそうかどうかを確認することも必要です。
場合によっては、情報提供を行って、特許化を阻止する活動が必要になってくるかもしれません。
そういった意味で、特定のテーマや分野、及び特定の出願について、定期的に状況を確認しておく必要があるのです。
それにより、世の中の市場状況を把握するとともに、他社の動きに目を光らせておくことが必要なのです。
詳しくは、こちらも参考にしてみてください。
4. 情報提供、無効化資料調査
「情報提供資料調査」とは、他社の特許出願の権利化を阻止するため、特許庁に情報提供するための資料を調査することです。
同様に、「無効化資料調査」とは、他社の特許を無効審判等により無効化するため、資料を調査することです。
そういった意味で、先行技術調査の一種ではあります。
無効審判で証拠資料として使用する場合は、権利をつぶそうとするものですので、必死に集めます。
無効審判を起こすということは、何かしら相手と争っている状況にあるということですので。
できる限り無効審判を起こさなくてもよい状況にしたいものです。
詳しくは、こちらの記事も参考にしてみてください。
5. 特許マップ(パテントマップ)、IPランドスケープ
「特許マップ(パテントマップ)」とは、特許情報を図や表の形で視覚化したものです。
同様に、「IPランドスケープ」とは、特許情報を視覚化したものを用いて、事業の方向性や知財方針を定めていくことを目的としたものです。
どのように視覚化するかは、その目的や作る人のセンスによって変わってきます。
時系列で作れば、技術の変遷などを見ることができます。
技術分野で作れば、どの技術分野においてどのような会社が技術を持っているかを見ることができます。
いずれにせよ、あくまで特許マップは一つのツールですので、これを作って終了ではありません。
このツールを、いかに有効に使うことができるか、それが重要なことなのです。
詳しくは、こちらの記事も参考にしてみてください。
特許マップの作り方は色々と本やセミナー等も出ていますので、参考にしてみてください。
6. まとめ
今回は、特許調査についてお伝えしてきました。
特許調査と一言で言っても、クリアランス調査や、先行技術調査、特許マップの作成等、様々な種類が存在します。
どのような目的で調査を行うか、を常に意識して調査を行うことが大切です。
調査は、地道な業務ではありますが、知財業務の全てに通じるとても重要なものです。
しっかりと基礎を積み上げて、より質の高い仕事ができるといいですね。
今回の内容が、少しでもあなたのお役に立てるようであれば、幸いです。
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