特許とかの知的財産て、数が多くて全部を把握するの難しいよね。
競合他社の知財状況って、どうやって把握するといいのかな?
そうだね。
数多くの知財を把握するには、「特許MAP」を利用するといいよ。
「特許MAP」か。聞いたことあるけど、
どんな種類があって、どう使えばいいかわからないな。
それじゃあ今回は、知財戦略を作る上での
特許MAPの利用法について説明していくよ。
知的財産戦略を立案する上で、自社の事業を取り巻く環境を把握することは不可欠です。
その中でも、競合他社の知的財産状況を把握することは、自社の特許戦略をより効果的に立案するために非常に重要な要素となります。
本記事では、競合他社の動向を調査する上で、特許MAPを作成することの意義、作成すべき特許MAPの種類、そして各MAPの作成方法について解説します。
✓ 知財戦略を作る上で、特許MAPを作成する意義
✓ 知財戦略を作る上で、有用な特許MAPの種類とその特徴
特許MAPを作成する意義
競合他社の動向を把握し、自社の事業戦略に活かすために、特許MAPの作成は、有効な手段です。
特許MAPとは、特許情報を視覚的に表現することで、複雑な特許情報を整理し、より深く理解するためのツールです。
特許MAPを作成することで、次のようなメリットが得られます。
- 競合他社の技術動向の把握: 競合他社の特許出願状況を可視化することで、彼らの技術開発の重点領域や今後の製品開発の方向性を推測することができます。
- 自社技術の強み・弱みの明確化: 自社の特許ポートフォリオと競合他社の特許ポートフォリオを比較することで、自社技術の優位性や課題を明確化することができます。
- 新たなビジネスチャンスの発見: 競合他社の特許情報から、新たな市場や技術領域を発見し、自社の事業展開に活かすことができます。
ランキングMAPの作成
ランキングMAPは、競合企業の強みや業界全体の技術トレンドを把握する上で非常に有効です。
ランキングMAPとは、特許の出願数や被引用数を基に、企業や技術分野のランキングを視覚化したものです。
いわば、特許の世界におけるヒットチャートのようなものです。
このマップを作成することで、特定の分野において、どの企業が最も多くの特許を出願しているのか、どの技術が注目されているのかが一目で分かります。
ランキングマップを作成するメリット
- 競合企業の強み弱みの把握: 特許出願数が多い企業は、その分野で強い競争力を持っている可能性が高いです。逆に、特許数が少ない企業は、その分野ではまだ力不足である可能性があります。
- 業界全体の技術トレンドの把握: 特定の技術分野における特許出願数を見ることで、どの技術が注目されているかを知ることができます。
- 自社との比較分析: 自社の特許出願数を競合企業と比較することで、自社の強みや弱みを客観的に評価することができます。
例えば、自動車業界でEV(電気自動車)の特許マップを作成すれば、どの自動車メーカーがEV技術に力を入れているのか、どの技術が注目されているのかが明確になります。
これにより、自社のEV開発戦略を立てる上で、重要な指針を得ることができます。
ランキングMAPは、競合企業の動向を俯瞰的に捉え、自社の事業戦略を立てるための羅針盤となるでしょう。
時系列MAPの作成
競合他社の特許動向を可視化する特許マップの中でも、時系列MAPは、その企業の技術開発の軌跡を時系列で追うことができる、非常に強力なツールです。
時系列MAPとは、ある特定の技術分野や企業の特許出願数を、時間軸に沿ってグラフや図で表したものです。
まるで一本の映画のように、企業がいつどのような技術に関心を持ち、どのように技術開発を進めてきたのかを、一目で理解することができます。
時系列MAPを作成するメリット
- 技術トレンドの把握: 特定の技術分野における特許出願数の増減から、その技術の注目度や市場の成長性を把握できます。
- 競合の戦略変化の発見: 特許出願のパターンが変化した箇所があれば、競合企業が新たな技術分野に進出したり、既存の事業から撤退したりするなど、戦略的なシフトが起こっている可能性があります。
- 自社の技術開発との比較: 自社の特許出願と比較することで、自社の技術開発が競合に比べて遅れているのか、それとも先んじているのかを客観的に評価できます。
- 将来の予測: 過去の特許出願の傾向から、将来の技術開発の方向性を予測し、自社の研究開発計画に活かすことができます。
例えば、ある企業が特定の技術分野における特許出願を急激に増やしている場合、その企業がその分野に力を入れている可能性が高く、自社もその分野への参入を検討する必要があるかもしれません。
このように、時系列MAPは、競合企業の技術開発の動きを詳細に分析し、自社の事業戦略に活かすための重要な情報源となります。
マトリクスMAPの作成
マトリクスMAPは、複数の要素を組み合わせることで、より詳細な分析を可能にするMAPです。ここでは、代表的な2つのマトリクスMAPについてご紹介します。
4-1. 「課題(X軸)×解決(Y軸)」MAPの作成
このMAPは、特定の技術分野における課題と、その課題を解決するための技術をマトリクス上に配置することで、競合他社の技術開発の方向性をより深く理解することができます。
特定の技術分野において、どのような課題が多く存在するのか、そして、どのような解決方法が取られているのか、といった傾向を知ることができます。
また、課題や解決方法の空白領域は、特許取得の可能性がある領域とみることもできます。
もちろん、魅力がないため空白領域となっている可能性もあり、技術内容を十分に精査して参入の判断を行う必要があるでしょう。
4-2. 「出願人(X軸)×特許分類(Y軸)」MAPの作成
このMAPは、複数の企業の出願状況を特許分類ごとに比較することで、各社の技術領域における強みや、異なる企業間の技術連携の可能性を検討することができます。
自社の強みの部分については、競合他社との差異として、さらに伸ばすことができないか、を検討することができると思います。
一方、自社の弱みの部分は、他社と連携するなどして、補強できないかを考えることもできるでしょう。
各特許MAPからインサイトを得る
特許MAPを作成するだけでは意味がありません。作成したMAPから得られた情報を、自社の事業戦略に活かすことが重要です。例えば、
- 新たな事業領域の探索: 競合他社が力を入れている未開拓の技術領域を探索し、自社の新たな事業の柱とする。
- 特許ポートフォリオの強化: 自社の弱みを補うための特許を取得したり、競合他社の特許を回避するための戦略を立てる。
- オープンイノベーションの推進: 競合他社との技術連携の可能性を探る。
まとめ
特許MAPは、知的財産戦略を立案する上で、競合他社の動向を把握し、自社の強みを最大限に活かすための強力なツールです。
本記事で紹介した様々な種類の特許MAPを作成し、自社の事業に合わせた分析を行うことで、より効果的な知的財産戦略を立案することができます。
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