競合に差をつける!:業界動向を分析し、勝てる戦略を立てる方法

知財戦略を作る上で、業界の動向を調べようと思うんだ。
でも、どんな観点で、どのような方法で調べるといいのかな?

特許以外の情報も調べるとは、視野が広くていいよね。
観点や調べ方は色々とあるから、今回はその情報を整理して伝えるよ。

知的財産戦略は、自社の事業を成功に導くための羅針盤です。

その戦略立案において、自社の強みを最大限に活かし、競合との差別化を図るためには、業界動向を深く理解することが不可欠です。

本記事では、業界動向調査の重要性と具体的な調査方法について解説します。

この記事でわかること

✓ 知財戦略を作る上での、業界動向の調査観点と、その具体的な方法

目次

なぜ業界動向調査が重要なのか?

業界動向を調査することで、以下のことが明確になります。

  • 自社のポジション: 業界内での自社の強み、弱み、そして競合との差異を客観的に把握できます。
  • 市場のニーズ: 顧客が求めるものは何か、そしてそのニーズはどのように変化しているのかを理解できます。
  • 競合の戦略: 競合がどのような戦略で市場を攻めているのか、そしてその戦略が成功しているのかを分析できます。
  • 将来の展望: 業界全体の成長性や、新たな技術や規制による市場の変化を予測できます。

これらの情報を基に、自社の知的財産戦略をより精緻化し、競合との激しい競争の中で生き残るための戦略を立案することができます。

業界動向調査は、以下に示す5つの視点から行うと良いでしょう。

市場動向調査

市場動向調査では、自社の製品やサービスが属する市場の現状や将来性を把握します。

市場動向調査を行うメリットは、主に以下の点が挙げられます。

将来の展望を予測する: 新規事業への参入や既存事業の拡大を検討する際の判断材料となる

・市場のニーズを把握する: 顧客が求めるものを理解し、製品開発やマーケティングに活かせる

・競合の立ち位置を把握する: 競合との差別化を図るための戦略を立案できる

・自社のポジションを明確にする: 業界内での自社の強み・弱みを客観的に把握できる

・製品・サービスの比較: 競合製品・サービスとの比較を行い、自社製品・サービスの優位性と差別化ポイントを明確にします。

具体的には、以下の市場規模予測と、現在の5フォース分析の2つの分析を行うと良いでしょう。

1. 市場規模予測

市場規模予測は、市場全体がどれくらいの大きさで、今後どのように成長していくのかを数値で示すものです。

この予測により、自社の事業がどれくらいの規模で成長できるのか、また、どの程度のシェアを獲得できるのかを推測することができます。

市場規模予測を行う際には、過去のデータや業界レポート、インターネット情報を参考に、市場の売上規模成長率を分析します。

5年後、10年後、対象となる市場がどの程度拡大するのか、又は縮小するのかを把握することで、その事業を行う意義を理解しやすくなるでしょう。

2. 現在の5フォース分析

5フォース分析は、業界全体の競争構造を分析するフレームワークです。

この分析では、以下の5つの力(フォース)を評価します。

各項目に、どのような企業が位置するかを確認すると良いでしょう。

  • 新規参入の脅威: 新規参入企業が市場に参入する際の障壁の高さ
  • 代替品の脅威: 他の製品やサービスが自社の製品やサービスの代わりとなる可能性
  • バイヤーの交渉力: 顧客が価格交渉などで強い影響力を持っているか
  • サプライヤーの交渉力: 部品や原材料を供給する企業が価格交渉などで強い影響力を持っているか
  • 既存企業間の競争の激しさ: 業界内の競合企業間の競争が激しいか

5フォース分析を行うことで、現時点での競合企業の立ち位置や、自社の強み・弱みを明確にすることが可能です。

また、自社の事業が置かれている競争環境の厳しさを客観的に評価することもできます。

他社の事業状況調査

業界動向調査において、他社の事業状況調査は、自社のビジネスをより深く理解し、競合との差を明確にする上で非常に重要な要素です。

他社の事業状況調査では、自社の競合となる企業がどのような事業を行っており、どのような成果を上げているのかを分析します。

他社の事業状況を調査することで、以下のようなメリットがあります。

競合との差を明確にする: 自社の強みと弱みを客観的に評価できる

・競合の戦略を理解する: 競合との差別化を図るための戦略を立案できる

新たなビジネスチャンスを発見する: 新規市場への参入や、新たな製品・サービスの開発に繋がる可能性がある。

調査を行う際は、具体的には、「売上高や利益率」と「提供価値」の2つの分析が特に重要です。

1. 売上高や利益率の分析

他社の売上高や利益率の推移を分析することで、その企業の成長性や収益性を把握することができます。

また、自社の売上高や利益率と比較することで、自社の強みと弱みを客観的に評価することができます。

売上高や利益率の分析を行う際には、財務諸表有価証券報告書などの公開情報を参考にします。

これらの情報から、売上高、利益率、そしてその推移を把握することができます。

2. サービスや商品の提供価値の分析

他社のサービスや商品の提供価値を分析することで、競合がどのような戦略で市場を攻略しているのかを理解することができます。

また、自社の製品やサービスとの差別化ポイントを明確にすることも可能です。

提供価値の分析を行う際には、競合のホームページ製品カタログなどを参考にします。

これらの情報から、競合がどのようなターゲット層を想定しているのか、どのような価値を提供しているのかを分析することができます。

他社の事業状況調査を行うことで、自社の事業戦略の精度を高めることができます。

競合の成功事例を参考にしながら、自社の強みを活かし、弱みを克服するための戦略を立案することができます。

他社の事業の将来目論見

ホームページ: 競合のホームページに掲載されている情報から、今後の事業展開の方向性や、新たな製品・サービスの開発計画などを推測します。

統合報告書: 上場企業であれば、統合報告書に記載されている情報から、中長期的な事業戦略や、サステナビリティに関する取り組みなどを把握できます。

業界動向調査において、他社の将来目論見を調査することは、自社の事業の未来を予測し、より戦略的な意思決定を行う上で非常に重要です。

他社の将来目論見を調査することで、競合がどのような方向に進もうとしているのかを把握することができます。

他社の将来目論見を調査するメリットは、次のことが挙げられます。

  • 将来の市場変化に対応できる: 新規市場への参入や、新たな製品・サービスの開発に繋がる可能性がある
  • 競合との差別化を図れる: 競合との競争優位性を確立できる
  • 事業リスクを低減できる: 将来的に起こりうるリスクを事前に予測し、対策を講じることができる

具体的には、「他社の新製品やサービスの把握」、「事業戦略やビジョンの把握」の2点から分析すると良いでしょう。

1. 他社の新製品やサービスの把握

他社が開発中の新製品やサービスを把握することで、今後の市場トレンド競合の戦略を予測することができます。

また、自社の製品やサービスとの競合関係を分析し、新たなビジネスチャンスを創出することも可能です。

新製品やサービスの情報を収集する際には、ホームページプレスリリース特許情報展示会などを参考にします。

これらの情報から、競合がどのような技術開発を行っているのか、どのような市場を狙っているのかを分析することができます。

2. 事業戦略やビジョンの把握

他社の事業戦略やビジョンを把握することで、競合が長期的にどのような目標を持っているのかを理解することができます。また、自社の事業戦略との整合性を検証し、必要であれば修正を行うことも可能です。

事業戦略やビジョンの情報を収集する際には、統合報告書ホームページIR情報などを参考にします。

これらの情報から、競合がどのような成長戦略を描いているのか、どのような社会貢献を目指しているのかを分析することができます。

他社の将来目論見を調査することで、自社の事業をより長期的な視点で考えることができます。

競合の動きを予測し、それに合わせて自社の戦略を修正することで、激しい市場競争の中で生き残ることができます。

まとめ

業界動向調査は、知的財産戦略立案において非常に重要なプロセスです。自社の事業環境を深く理解し、競合との差別化を図るためには、継続的に業界動向を調査し、その結果を戦略に反映していくことが求められます。

業界動向調査を行う上でのポイント

  • 多角的な視点: 様々な角度から情報を収集し、客観的な分析を行うことが重要です。
  • 最新の情報: 最新の情報を常に収集し、変化に対応できる体制を整えることが重要です。
  • 競合との比較: 自社と競合を比較することで、自社の強みと弱みを明確にし、改善すべき点を洗い出すことが重要です。

本記事が、読者の皆様の知的財産戦略立案の一助となれば幸いです。

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この記事を書いた人

企業の知的財産部門で働く、理系出身の弁理士です。

知財分野に関わり始めた方が、これからさらに成長していくお手伝いができればと思い、このサイトを作りました。

[経歴]
・2007年 関西の大学院を修了
・2007年 食品会社で研究開発を行う
・2013年 食品会社の知的財産部門で働く
・2019年 弁理士試験合格
・2020年 弁理士登録
・2021年 ブログを執筆開始

知的財産の世界を、できる限りわかりやすくお伝えしたいと思っております。
皆さんに少しでも興味を持っていただけると幸いです。

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