知財戦略を成功に導く最終ステップ:事業部門を巻き込み、仲間を動かす!

先生、知財戦略って難しすぎます!
どうすれば事業に役立てられるんですか?

大丈夫、焦らなくていい。戦略は実行してこそ意味がある。
今日はその最終ステップを教えよう。

最終ステップですか?
具体的に何をすればいいんでしょう?

事業部門を巻き込むんだ。
彼らを動かして初めて、戦略は活きてくるんだよ。

企業の知財担当者、経営者の皆様、こんにちは。

本ブログでは、特許戦略・知的財産戦略(知財戦略)の立案から実行までを網羅的に解説し、皆様のビジネスの成功を支援しています。

今回は、知財戦略立案の最終ステップとして、非常に重要な「仲間を動かす」というテーマに焦点を当て、特に「立案した知財戦略・知財戦術を事業部門に提示すること」について詳しく解説します。

この記事でわかること

・立案した知財戦略を基に、事業部門を仲間にし、動いてもらうための説明法

目次

知財戦略立案の落とし穴:戦略だけでは意味がない

綿密に練り上げられた知財戦略も、机上の空論で終わってしまっては意味がありません。

戦略を実行に移し、具体的な成果を上げるためには、社内外の「仲間」の協力が不可欠です。

特に、事業部門との連携は、知財戦略の成否を大きく左右します。

なぜなら、事業部門は市場の最前線に立ち、技術開発や製品戦略を推進する主体だからです。

彼らの理解と協力を得られなければ、知財戦略は絵に描いた餅となってしまうでしょう。

本記事では、立案した知財戦略・戦術を事業部門に効果的に提示し、彼らを巻き込んで戦略を推進するための具体的な方法をステップごとに解説します。

この記事を読み終えた後、皆様が関連部門に分かりやすく、納得性の高い説明を行い、仲間を増やし、立案した戦略や戦術を力強く推進していくことを願っています。

1.プレゼンテーションを行うことの意義:行動を促すための重要な手段

プレゼンテーションは、単なる情報伝達の場ではありません。

聞き手に具体的な行動を起こしてもらうための、非常に重要な手段です。

知財戦略・戦術を事業部門の人に説明する目的は、彼らに共感してもらい、具体的な行動に移してもらうことにあります。

例えば、「競合他社の特許出願状況を分析し、自社の技術開発の方向性を修正する」という戦術を立てたとします。

これを事業部門に伝える際、「競合の動向が重要です」と抽象的に伝えるだけでは、彼らは具体的な行動を起こしにくいでしょう。

しかし、「競合A社は〇〇技術に特許出願を集中させており、このままでは将来的に市場で不利になる可能性があります。

そのため、我々は△△技術の開発に注力する必要があります」と具体的なデータと分析結果を示しながら説明すれば、彼らは危機感を共有し、具体的な行動に移しやすくなります。

プレゼンテーションを通じて、戦略の背景、目的、具体的な内容を明確に伝え、事業部門の行動を促すことが、知財戦略を成功に導くための第一歩となります。

2.具体的内容、時期の特定:相手のメリットと役割分担を明確に

説明相手に具体的に動いてもらうためには、相手にとってのメリットを明確に伝えることが重要です。

知財戦略が事業の成功にどのように貢献するのか、具体的な事例やデータを用いて説明することで、相手のモチベーションを高めることができます。

さらに、自分が行うことと、相手が行うことを明確にし、役割分担を示す必要があります。

「誰が、いつ、何をするのか」を明確にすることで、責任の所在が明確になり、スムーズな連携が可能になります。

あわせて、いつまでに何をする必要があるかまで、具体的なスケジュールを提示することで、計画的な行動を促すことができます。

戦略・戦術の遂行におけるゴール(目標)と手段を明確にしておかなければ、関係者は何をすれば良いのか分からず、結果的に戦略は実行されません。

例えば、「〇〇製品の市場シェアを〇%獲得する」というゴールに対し、「△△技術の特許取得」「××企業との共同開発」といった手段を明確に示すことで、関係者は具体的な行動に移しやすくなります。

3.情報をまとめる:相手に合わせた資料作成が鍵

プレゼンを行うことの意義と、戦略・戦術の具体的内容まで準備できたら、これらを含む知財戦略・戦術の説明用の資料を作成する必要があります。

説明のためには、パワーポイントやエクセルなどを用いて情報を整理し、分かりやすくまとめるのが良いでしょう。

資料作成の際に最も重要なのは、「聞き手の立場に立って、聞き手が理解しやすいように作成する」ことです。

専門用語を多用するのではなく、平易な言葉で説明し、図やグラフなどを活用して視覚的に分かりやすく表現することを心がけましょう。

あくまで、事業部門などの相手に動いてもらう立場にあるため、説明の言葉は、相手に合わせて選ぶ必要があります。

例えば、技術者向けの説明では技術的な詳細に触れる一方、経営層向けの説明ではビジネスへの影響を重点的に説明するなど、相手に合わせた資料を作成することで、より効果的に情報を伝えることができます。

4.自部門内で合意する:他部門への説明前に足場を固める

資料の準備ができたら、すぐに事業部門などの他部門に説明するのではなく、その前に、自部門内で、上長を含めて、内容の合意を行っておく必要があります。

これは非常に重要なステップです。

自部門内で合意が取れていない状態で他部門に説明した場合、他部門からだけでなく、自部門の人からも反対意見が出る可能性があり、場が混乱する原因となります。

最悪の場合、「自部門内で合意してから説明せよ」と事業部門から突き返される可能性もあります。

他部門に説明する上でも、自部門の人を味方につけた状態で行うことが、スムーズな合意形成につながります。

事前に自部門内で十分な議論を行い、合意形成を図ることで、他部門への説明に自信を持って臨むことができます。

5.事業部門などの関連部門に説明する:傾聴と対話で合意形成を目指す

上記までの準備が整って、初めて、自部門以外の関連部門に説明を行う段階となります。

説明をする際は、落ち着いて、少しゆっくりめのスピードで話をすると、相手に内容が伝わりやすくなります。

関連部門からの意見や反論、質問などに対しては、まずは受け入れる姿勢をもって、しっかりと聞くことが重要です。

相手の意見を尊重することで、良好なコミュニケーションを築き、建設的な議論を進めることができます。

その上で、合意できる部分と、さらに検討を要する部分を明確にし、必要に応じて、複数回の説明会を開催し、意見をすり合わせていくと良いでしょう。

時間をかけて丁寧に意見交換を行うことで、関係者全員が納得のいく知財戦略・戦術を構築することができます。

こうして関係者全員で作り上げた知財戦略・戦術は、実効性の高い、良いものとなるでしょう。

6.まとめ:仲間を動かし、知財戦略を成功に導く

本記事では、知財戦略立案の最終ステップとして、「仲間を動かす」こと、特に「立案した知財戦略・知財戦術を事業部門に提示すること」について詳しく解説しました。

重要なポイントを改めてまとめます。

  • プレゼンテーションは、相手の行動を促すための重要な手段である。
  • 具体的な内容、時期を特定し、相手のメリットと役割分担を明確に示す。
  • 相手に合わせた分かりやすい資料を作成する。
  • 他部門への説明前に、自部門内で合意形成を図る。
  • 相手の意見を尊重し、傾聴と対話を通じて合意形成を目指す。

これらのステップを踏むことで、事業部門をはじめとする関係者を効果的に巻き込み、知財戦略を確実に実行に移すことができるでしょう。

そして、関係者全員で作り上げた知財戦略は、必ずや企業の成長と発展に大きく貢献するはずです。

本記事が、皆様の知財戦略推進の一助となれば幸いです。

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この記事を書いた人

企業の知的財産部門で働く、理系出身の弁理士です。

知財分野に関わり始めた方が、これからさらに成長していくお手伝いができればと思い、このサイトを作りました。

[経歴]
・2007年 関西の大学院を修了
・2007年 食品会社で研究開発を行う
・2013年 食品会社の知的財産部門で働く
・2019年 弁理士試験合格
・2020年 弁理士登録
・2021年 ブログを執筆開始

知的財産の世界を、できる限りわかりやすくお伝えしたいと思っております。
皆さんに少しでも興味を持っていただけると幸いです。

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