知的財産戦略で事業を加速! 競争と共創を両立させる戦略とは

内部や外部の情報の収集が終わり、ありたい姿を描いた後は、
何をしたらいいだろう。

そうだね。
次は、実際の「行動を決める」ことが大事だよ。

「行動を決める」か。段々現実的になってきたね。
でも、どうやってその行動を決めたらいいの?

よし、じゃあ今回は「行動を決める」ための考え方や
その方法について説明していくよ。

特許戦略の立案は、自社の知的財産を最大限に活用し、事業を成功させるための重要なプロセスです。

これまでのステップで、内部・外部の情報分析、及び将来のありたい姿を描いてきました。

これからは、いよいよ具体的な行動に移す段階に入ります。

このステップで特に重要なのが、「競争相手と共創相手を選定する」ことです。

競争相手との切磋琢磨と、共創相手との協力は、どちらも自社の事業を発展させるための強力な手段となります。

本記事では、競争相手と共創相手を特定するための考え方、そして彼らの注目すべき知的財産を抽出する方法について解説していきます。

この記事でわかること

・自社事業の発展のため、競争相手と共創相手を特定するための考え方と、その具体的な方法

目次

1. 競争相手を特定するための考え方

競争相手を特定することは、自社の事業が置かれている状況を正確に把握し、今後の戦略を立てる上で不可欠です。

また、お互いに切磋琢磨してより良い商品やサービスを作り上げることで、自社事業の発展のみならず、業界の発展にも貢献します。

まずは、競争相手を特定するための考え方を見ていきましょう。

① 事業領域、及び技術の重なり具合

1つ目の観点は、事業領域や技術領域に関する、自社事業との重なり具合です。

競合をより詳しく分類すると、次のようになります。

  • 直接競合: 自社と全く同じ製品・サービスを提供している企業
  • 間接競合: 製品・サービスが異なるが、顧客層や市場が重なっている企業
  • 潜在的競合: 現時点では競合していないが、近い将来に競合する可能性のある企業

これらの競合について事業領域と技術の重なり具合を分析することで、自社の競争優位性や、逆に脅威となる可能性のある領域を明確にすることができます。

② 機会の損失、及び脅威の発生リスク

もう一つの観点は、「機会」と「脅威」に関するものです。

ある対象企業の事業活動によって、機会が損失される、あるいは、脅威が発生するようであれば、それは競合といえるでしょう。

競合企業の動向を分析することで、自社が失ってしまう可能性のある市場機会や、新たな脅威となる可能性を早期に察知することができます。

例えば、競合企業が新たな特許を取得した場合、自社の事業にどのような影響を与えるかなどを検討する必要があります。

2. 競合相手の注目すべき知的財産を抽出する

競合企業の注目すべき知的財産を抽出するためには、以下の点に注意して特許情報を調査しましょう。

  • コア特許: 競合企業の事業の中核となる技術に関する特許
  • 周辺特許: コア特許を補完する技術に関する特許
  • 出願動向: 競合企業の特許出願の増加傾向や、新たな技術分野への進出など
  • 訴訟履歴: 特許侵害訴訟などの履歴から、競合企業の知的財産に対する姿勢や、攻撃・防御の戦略を分析

これらの情報を分析することで、競合企業の技術力や、知的財産戦略の方向性を把握することができます。

そして、これらの知的財産に対して、自社が取りうる対抗策を考えることができます。

3. 共創相手を特定するための考え方

共創相手との連携は、新たな事業機会の創出や、自社事業の拡大・展開を行う上で非常に有効です。

ここでは、共創相手を特定するための考え方を見ていきましょう。

① 事業領域、及び技術領域の重なり具合

共創相手を探す際には、自社の事業領域や技術領域と、ある程度重なり合う企業を選ぶことが重要です。

ただし、完全に同じ領域の企業を選ぶのではなく、互いに補完し合えるような関係にある企業を選ぶことが理想です。

② 強みの強化、及び弱みの補強可能性

共創相手との連携を通じて、自社の強みをさらに強化したり、弱みを補強したりすることができます。

例えば、自社が保有していない特許技術を持つ企業との連携により、製品開発のスピードアップや、新たな製品ラインの創出が可能になる場合があります。

4. 共創相手の注目すべき知的財産を抽出する

共創相手となる企業の知的財産を分析する際には、以下の点に注目しましょう。

  • 補完的な特許: 自社の特許と組み合わせることで、新たな製品やサービスを生み出す可能性のある特許
  • ノウハウ: 特許には開示されていない、企業独自のノウハウや技術
  • ブランド力: 顧客からの信頼が厚いブランドは、自社の製品・サービスの販売促進に貢献する可能性がある

これらの情報を分析することで、共創相手との連携によって得られるメリットを最大限に引き出すことができます。

5. まとめ

競争相手と共創相手を選定し、それぞれの知的財産を分析することは、自社の事業を発展させるための重要なステップです。

競争相手との切磋琢磨を通じて、自社の技術力を向上させ、市場での競争力を高めることができます。

また、共創相手との連携を通じて、新たな事業機会を創出し、企業の成長を加速させることができます。

本記事で紹介した考え方を参考に、自社にとって最適な競争相手と共創相手を特定し、効果的な知的財産戦略を立案してください。

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この記事を書いた人

企業の知的財産部門で働く、理系出身の弁理士です。

知財分野に関わり始めた方が、これからさらに成長していくお手伝いができればと思い、このサイトを作りました。

[経歴]
・2007年 関西の大学院を修了
・2007年 食品会社で研究開発を行う
・2013年 食品会社の知的財産部門で働く
・2019年 弁理士試験合格
・2020年 弁理士登録
・2021年 ブログを執筆開始

知的財産の世界を、できる限りわかりやすくお伝えしたいと思っております。
皆さんに少しでも興味を持っていただけると幸いです。

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