競合との差を広げる!自社事業を守るための具体的な戦術とは?

将来の事業のありたい姿を思い描いた後は、それを実現させるための、具体的な戦術が必要だね。

そのとおり。
そのためには、戦術を立てるための考え方を知っておく必要があるよ。

考え方かぁ。
確かに、基礎的なことを知らないと、戦術も立てにくいからね。

うん。
今回は、戦術立案の考え方について解説していくよ。

知的財産戦略は、企業の成長を加速させるための強力なツールです。

特許戦略はその中でも特に重要な要素の一つであり、企業の競争優位性を確立し、持続的な成長を促すために不可欠です。

本記事では、特許戦略立案の第4ステップである「行動を決める」というフェーズにおいて、自社の事業を発展させるための具体的な戦術の立て方について、競争相手と共創相手を意識した視点から解説していきます。

✓自社の事業を発展させるための、具体的な戦術立案に関する考え方を理解する。

目次

1. 知的財産権を取得する目的:自社事業を守る

知的財産権、特に特許権を取得する最大の目的は、自社の事業を守ることにあります。

特許権は、発明者に与えられる「独占排他権」です。

この権利によって、発明者は自らの発明を独占的に利用し、その成果を最大限に享受することができます。

つまり、特許を取得することで、自社が開発した製品や技術を他社に真似されることなく、市場で独占的に販売することが可能になります。

これにより、自社の利益を十分に確保し、事業を安定的に成長させることができるのです。

もし、他社が特許権を侵害した場合、権利者は侵害者に損害賠償を求めたり、製品の販売禁止を求めるなどの法的措置を取ることができます。

これは、自社の事業を模倣する行為を未然に防ぎ、自社の事業を守るための重要な手段です。

知的財産権は、企業にとって無形の資産であり、企業の競争力を高める上で欠かせないものです。

2. 守りの特許と攻めの特許

知的財産権は、発明者に与えられる「独占排他権」であり、自社の事業を守るための強力な武器となります。

特許はその中でも代表的なもので、大きく分けて「守りの特許」と「攻めの特許」の2つに分類できます。

守りの特許は、他社から自社のアイデアや技術を盗用された際に、その権利を行使するためのものです。

他社とのクロスライセンス契約を締結することで、自社の事業を継続しながら、他社の技術も利用できるという側面も持ち合わせています。

一方、攻めの特許は、自社の技術やアイデアをベースに、市場を拡大するためのものです。

他社の市場参入を阻害したり、特許をライセンスすることで収益を得たりすることができます。

企業は、自社の状況や目標に合わせて、守りの特許と攻めの特許をバランスよく取得することで、より効果的な知的財産戦略を展開することができます。

3. 予防的防御:事前にリスクを回避する

知的財産権を取得することは、自社の事業を守る上で非常に重要です。

しかし、自社の権利を守るだけでなく、他社の権利を侵害しないようにすることも不可欠です。

そこで重要となるのが「予防的防御」です。

予防的防御とは、事前にリスクを回避し、自社の知的財産をより強固に守るための活動です。

具体的には、以下の2つの対策が挙げられます。

1. 先行技術調査

自社の発明が、既に特許を取得している他の発明と類似しているかどうかを事前に調査します。

これにより、無効になる可能性のある特許出願を回避し、無駄なコストを削減することができます。

2. 他社の出願に対する対応

自社の事業に影響を与える可能性のある他社の特許出願に対して、情報提供や異議申立てを行うことで、その特許の権利化を阻止したり、無効化したりすることができます。

これにより、競合他社の動きを封じ込め、自社の市場地位を強化することができます。

予防的防御は、知的財産紛争を未然に防ぎ、自社の事業を安定的に成長させるための重要な活動です。

4. 臨床的防御:実際に権利侵害を受けた場合の対応

知的財産権侵害の脅威は、企業にとって深刻な問題です。

事前に予防的な対策を講じても、実際に他社から権利侵害の警告を受けるケースは少なくありません。

このような状況下で、企業は「臨床的防御」という手段を取る必要があります。

臨床的防御とは、他社から権利侵害の警告を受けた際に、法的措置を含む様々な手段を用いて自社の権利を守ることです。

具体的には、相手方と交渉を行い、自社の権利が正当であることを主張したり、ライセンス契約を締結したりすることで、事態の解決を図ります。

訴訟に発展するケースも少なくありませんが、訴訟は時間と費用がかかるため、まずは交渉による解決を目指します。

臨床的防御は、企業の知的財産を守る上で最後の砦であり、専門家のサポートを受けることが不可欠です。

5. 市場拡大のための考え方:オープン・クローズ戦略

知的財産は、企業の競争力を高めるだけでなく、市場の拡大にも貢献することができます。自社の特許を他社にライセンスすることで、市場におけるプレイヤーを増やし、市場全体の拡大に繋げることができます。

しかし、全ての特許をオープンにすることは必ずしも良いことではありません。

オープン・クローズ戦略を採用することで、より効果的な市場拡大が可能です。

コア技術は自社で守り、周辺技術をオープンにすることで、自社の競争優位性を維持しながら、市場全体のパイを拡大することができます。

例えば、自動車メーカーがエンジン技術をコア技術として守りつつ、周辺技術であるインフォテインメントシステムをオープンにすることで、様々な企業がそのシステムを活用した製品を開発し、市場全体が活性化するといったことが考えられます。

この戦略は、自社の技術を広く普及させ、新たなビジネスチャンスを生み出すだけでなく、業界全体の技術革新を加速させる効果も期待できます。

6. まとめ

知的財産戦術は、企業の事業を守るための重要な手段です。

特許を取得することで、自社の技術やアイデアを保護し、競合他社との差別化を図ることができます。

また、特許をライセンスすることで、新たな収益源を創出することも可能です。

しかし、知的財産戦略は、守りの特許だけでなく、攻めの特許も活用し、オープン・クローズ戦略を適切に組み合わせることで、より効果を発揮します。

さらに、先行技術調査や他社の出願に対する対応など、予防的な対策を講じることで、知的財産紛争のリスクを最小化することができます。

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この記事を書いた人

企業の知的財産部門で働く、理系出身の弁理士です。

知財分野に関わり始めた方が、これからさらに成長していくお手伝いができればと思い、このサイトを作りました。

[経歴]
・2007年 関西の大学院を修了
・2007年 食品会社で研究開発を行う
・2013年 食品会社の知的財産部門で働く
・2019年 弁理士試験合格
・2020年 弁理士登録
・2021年 ブログを執筆開始

知的財産の世界を、できる限りわかりやすくお伝えしたいと思っております。
皆さんに少しでも興味を持っていただけると幸いです。

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