ありたい姿って、どうやって定めるのがいいのかな。
そうだね。知財部門だけで決めるって訳にもいかないからね。
やはり、事業部門との連携が必要だよ。
そっか。そうすると、ありたい姿だけではなく、
実際の課題への取組みも連携が必要だね。
そのとおり。
今回は、ありたい姿と、課題の特定について、詳しく説明して行くよ。
特許戦略の立案は、単に特許を取得することだけが目的ではありません。
自社の事業を成功に導き、競合との差別化を図るための重要な戦略です。
本記事では、特許戦略立案の第三ステップとして、「将来を描く」ことについて深掘りします。
特に、クロスSWOT分析で得られた複数のありたい姿を、事業部門と協議し、連携により一つに特定します。
そして、5Force分析を用いて将来像を描き、事業上・知的財産上の課題を明確にする方法について解説します。
✓ 事業部門と連携した、ありたい姿の特定と、事業課題・知財課題の形成の具体的な方法
1. 5Force分析とは
5Force分析は、マイケル・ポーターが提唱した業界分析のフレームワークです。
ある業界の競争の激しさを、以下の5つの力から分析します。
- 新規参入の脅威: 新規参入企業がどれほどの脅威となるか
- 既存企業間の競争: 既存企業間の競争の激しさ
- 代替品の脅威: 代替品がどれほどの脅威となるか
- サプライヤーの交渉力: サプライヤーがどれほどの交渉力を持っているか
- バイヤーの交渉力: バイヤーがどれほどの交渉力を持っているか
この5つの力を分析することで、自社の置かれている状況を客観的に把握し、今後の戦略を立てるための重要な手がかりを得ることができます。
2. 事業部門へのヒアリング
SWOT分析やクロスSWOT分析で得られた複数のありたい姿を、事業部門と共有し、ヒアリングを実施します。
事業部門は、日々の業務を通じて、顧客のニーズや市場の動向を深く理解しています。
彼らとの対話を通じて、より現実的で実行可能なありたい姿を特定することが可能です。
ヒアリングでは、以下の点について意見交換を行うとよいでしょう。
- 各ありたい姿のメリット・デメリット
- 実現可能性
- 必要な資源
- 潜在的なリスク
3. ありたい姿を特定する
事業部門とのヒアリング結果を踏まえ、複数のありたい姿の中から一つに絞り込みます。
この際、以下の点に注意しましょう。
- 企業全体の戦略との整合性: 選択したありたい姿が、企業全体の戦略と合致しているか
- 実現可能性: 現在の資源や能力で実現可能か
- 競合との差別化: 競合との差別化につながるか
- 長期的な視点: 長期的な視点から見て、持続可能な成長につながるか
4. 現状と、ありたい姿についての5Forceを作成する
特定したありたい姿を踏まえ、現在の状況と将来のありたい姿について、それぞれ5Force分析を行います。
現状の5Forceの状況から、ありたい姿の5Forceの状況に変化するために、どの部分がどのように変化する必要があるのかを認識します。
この比較を通じて、現状と将来のギャップを明確にし、改善すべき点、すなわち事業上の課題をを洗い出すことができます。
5. 事業上の課題と、それに関連する知的財産上の課題を特定する
5Force分析の結果から、事業上の課題を特定します。
例えば、新規参入の脅威が高い場合は、新規参入障壁を築くための戦略が必要になります。
事業上の課題が特定できたら、それに関連する知的財産上の課題を洗い出します。
例えば、新規参入障壁を築くために、特許を取得する必要があるかもしれません。
6. まとめ
特許戦略立案の第三ステップとして、「将来を描く」ことの重要性について解説しました。
クロスSWOT分析、事業部門との連携、5Force分析といったツールを活用することで、より具体的な将来像を描くことができます。
本記事で紹介した方法を実践することで、自社の事業上の課題と知的財産上の課題を明確にし、効果的な特許戦略を立案することが可能になります。
【ポイント】
- 事業部門との連携が重要
- 5Force分析は、現状と将来のギャップを明確にするための有効なツール
- 知的財産は、事業戦略と一体となって考える必要がある
コメント