特許マップとか、IPランドスケープっていう言葉を
聞くことがあるけど、これってどんなもの?
それは、特許情報を図にして見やすくし、
俯瞰できるようにしたものだよ。
それって、どんな意味があるの?
そして、どうやって作るの?
疑問は色々出てくるよね。
一つずつ見ていこう。
特許に関連していると、特許マップ、IPランドスケープ、といった言葉を耳にすることもあるでしょう。
でも、何となくイメージはあるけど、具体的に何をするのかわかりにくかったり、どのような意味があるのかも不明だったりするのではないでしょうか。
今回は、そのような疑問についてお答えしていきます。
✓ 特許マップ、IPランドスケープとは
✓ 特許マップの種類とその内容
✓ 特許マップ、IPランドスケープの意義
特許(パテント)マップ、IPランドスケープとは
特許マップとは、
「特許情報を調査・整理・分析して、視覚化したもの」
のことです。
また、IPランドスケープとは、
「視覚化した特許情報を基に、知的財産活動の方針を定めていくこと」
です。
では、なぜ特許情報を視覚化する必要があるのでしょうか?
特許情報は、公報として、文章によって記載されています。
そのため、一般的には一つずつ文章を読んで、自分で特許内容をイメージするしかありません。
一つの特許であれば、まだ時間をかけて読めば、イメージもつくでしょう。
しかし、それが複数になってくると、時間が掛かるだけではなく、関連性がわかりにくくなってしまいます。
また、その情報を誰か他の人に伝えようとするとき、文章のみでなく、視覚化されたもので伝えた方が理解をしてもらいやすくなります。
そこで、複数の特許の関連性がわかるように、図などを用いた視覚化が必要になるのです。
多数の特許をマクロな視点で見ることで全体感を知ることができます。
では、特許マップにはどのような種類があるのでしょうか?
次からは、特許マップの種類についてみていきましょう。
特許マップの種類
特許マップには、どのような種類があるのでしょうか?
特許マップには、次のようなものがあります。
- 統計解析マップ
- 内容解析マップ
- テキストマイニングマップ
では、それぞれどのようなもので、どのように使い分けると良いのでしょうか。
一つずつ概要を解説していきます。
統計解析マップ
統計解析マップとは、
「書誌的事項に基づいて、そのデータをマップ化したもの」
のことです。
「書誌的事項」というのは、出願日や公開日などの日付データ、及びIPCやFI、Fターム等の特許分類データといったものです。
これらは、特許の公報に既に記号的に付与されているものです。
そのため、自分で特許の内容を読み込まなくても、機械的に振り分けることが可能です。
実際に統計解析マップを作る際は、特許のデータベースに付属のツールで加工したり、対象特許のリストを準備して、Excel等で作ったりします。
統計解析マップの代表的なものとして、以下のものがあります。
- 件数推移マップ
- 構成比マップ
- マトリクス表示マップ
「件数推移マップ」では、特許出願の件数の推移を、時間軸で見ることができます。
「構成比マップ」では、特許の分類別のシェア(比率)を見ることができます。
「マトリクス表示マップ」では、自身で定めた二軸の観点(例えば「課題」と「解決方法」等)について、マトリクスを用いて分類毎の件数を比較することができます。
統計解析マップの長所は、比較的短時間で作成ができることと、対象件数が多くても対応可能なことです。
一方、短所は、書誌的事項により作成しているので、一つずつの特許内容の十分な精査ができていないこと、また、マトリクスマップなどは、分類軸の作成にノウハウが必要なことです。
統計解析マップのみで全てを理解することができるわけではないため、必要に応じて、以降で説明する、内容解析マップと併用するとよいでしょう。
内容解析マップ
内容解析マップとは、
「技術内容に基づいて、そのデータをマップ化したもの」
のことをいいます。
「技術内容」は、特許公報を一つずつ読み込んでいくことで、理解をすることができます。
実際に内容解析マップを作成する際は、特許のデータベースから対象特許のリストを準備して、特許文献の内容を精査し、分類を付与後、Excelやツールを用いてマップを作成する、という手順になります。
内容解析マップの代表的なものとして、以下のものがあります。
- マトリクス表示マップ
- 時系列表示マップ
- 要素別表示マップ
- ブレークスルーマップ
「マトリクス表示マップ」は、統計解析マップでも説明したものと同様です。
「時系列表示マップ」では、特許が出願された順に、時系列で技術の発展を追うことができます。
「要素別表示マップ」では、商品の構成要素ごとに、該当する特許を見ることができます。
「ブレークスルーマップ」では、特許の権利範囲の広さを面積の大きさで表現したもので、代表特許の権利範囲の広さを理解することができます。
内容解析マップの長所は、技術内容を精査したものであるため、納得性が高いものとなっていることです。
一方、短所は、作成に時間と労力がかかることと、部類軸の作成にノウハウが必要なことです。
テキストマイニングマップ
テキストマイニングマップとは、
「テキストマイニングの技術を使用して作成する特許マップ」
のことです。
テキストマイニングとは、文書形式のデータを定量的な方法で分析することです。
つまり、テキストマイニングマップとは、特許の書誌的情報及び特許明細書の文書全体に基づいて、定量的なデータを作成したマップになります。
基本的に、人が一つずつ特許の内容を精査していくことはしません。
実際にこのマップを作成する際は、テキストマイニング専用の解析ツールを用いることになるでしょう。
解析ツールは、現在各社が商用のものを様々出しています。
例えば、特徴的な用語を指定した後、特許データベースに基づき、解析ツールがテキストマイニング結果をはじき出し、ポートフォリオマップを作成することができます。
あるいは、テキストマイニング結果を基に、分析し、マップを作成することができます。
特許ポートフォリオ分析マップは、2次元軸上に特許をマッピングしたものです。
解析対象となる特許文献に出てくる単語との結びつきにより、図を作成します。
テキストマイニングマップの長所は、件数が多くても、ツールがあれば、解析が容易であることです。
さらに、特許毎の相関や、複数企業間のポートフォリオ比較が容易であることです。
一方、短所は、2次元軸上に表示されたマップの解釈です。
マップの読み方を理解するのが難しく、理解していなければ、どのような意味があるのかがわかりません。
このように、統計解析マップ、内容解析マップ、テキストマイニングマップには、それぞれ長所と短所があります。
それぞれの良さを生かして、うまく組み合わせて使用するとよいでしょう。
特許マップを作る目的とは?
さて、ここまで、特許マップの種類や作成方法をお伝えしてきましたが、
「なぜ、特許マップを作るのでしょうか?」
特許マップを有効に使うためには、
「特許マップ作成の目的を明確化する」
ことが重要です。
そして、特許マップでの気づきを基に、次の行動を決められるようにできると良いでしょう
特許マップの作成は、手段です。
この特許マップを見る人は誰なのか、そしてその相手は、何を求めているのか。
特許マップ作成の前に、その点を十分に理解しておく必要があるでしょう。
特許マップ作成の目的としては、以下のようなことが挙げられます。
・競合他社の出願動向から技術動向を探り、自社の研究開発の方向性を定める
・競合他社の特許侵害を回避する
・他社による自社事業参入への参入障壁(特許ポートフォリオ)構築する
・自社と他社の保有特許を知り、ライセンスを考慮した将来事業のリスクを低減する
・他社の保有特許を知り、M&Aをする際の経営への参考情報とする
これらのことに限りませんが、特許マップを作成する目的がわからなくなってきたら、上記のことを参考にしてみるとよいと思います。
まとめ
今回は、特許マップの作成についてお伝えしてきました。
特許マップとは、特許情報を調査・整理・分析して、視覚化したもの、のことでした。
また、特許マップの種類としては、統計解析マップ、内容解析マップ、テキストマイニングマップ、といった種類がありました。
そして、特許マップを作成することはあくまで手段であるため、その目的を十分に理解しておくことが必要であることをお伝えいたしました。
今回の内容が、少しでもあなたのお役に立てるようであれば幸いです。
今日という日が、あなたにとって良い一日となりますよう願っています。
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