研究者や技術者、開発者、はもちろんのこと、今の時代では、知財パーソンも発明を創っていくことが求められる場面もあります。
発明って、ひらめくものという印象があるけど、
意図的に創っていくことはできるんかな?
そうだね。発明を意図的に創っていくことは、
簡単ではないけど、可能だよ。
えっ、本当に!?
その方法をぜひ教えてほしい!
今回はその話をしようか。
発明の創出方法は、具体的には2つの方法があるんだ。
発明を、自分から意図的に作っていくことは可能です。
そこで今回は、発明を創出する上での考え方を2つ紹介します。
一つは、「課題の発見」に基づく発明創出法
もう一つは、「コア技術の用途展開」に基づく発明創出法です。
それぞれ見ていきましょう。
✓ 発明を意図的に創出する方法
①課題の発見に基づく発明創出方法の内容
②コア技術の用途展開に基づく発明創出方法の内容
課題発見に基づく発明創出方法
課題の発見
発明は、「課題」と「その解決手段」の2つがセットになって完成します。
「課題の発見」に基づく発明創出法は、その「課題」を起点に発明を考えるものです。
それでは、「課題」とは、何でしょうか?
課題とは、
目標と現状とのギャップを埋めるためにやるべきこと
と言っていいでしょう。
例えば、あるハサミがあるとします。
このハサミは使い古してしまい、刃こぼれしたため、紙を切りにくくなっているとしましょう。
ここで、このハサミを使って、容易に紙を切りたいと思った人がいるとします。
そうすると、「ハサミを使って、容易に紙を切りたい」という「目標」と、「刃こぼれしたため紙を切りにくくなっている」という「現状」との間にギャップが存在します。
このギャップを埋めるために「このハサミを切れやすいようにする」というやるべきことが、「課題」ということになります。
「課題」の具体的イメージは付きましたでしょうか。
発明創出法
それでは、課題発見に基づく発明創出は、具体的にどのような方法で行っていくと良いのでしょうか。
まず、自社の商品や他社の商品を分析するところから始めます。
自社商品や他社商品を分析し、比較することで、どのような特徴があるかがわかると思います。
そして、その商品の良いところもあれば、改善が必要なところも見つかるでしょう。
その改善が必要なところが、課題発見のポイントです。
現在の商品の良いところを維持しつつも、改善が必要なところも改善できれば、発明になり得ます。
そして、他社もそのような改良品を作ることを考えているでしょうから、そのような発明を取得することは、競合他社に対しても牽制効果を有することになるでしょう。
コア技術の用途展開に基づく発明創出方法
コア技術の用途展開
「課題の発見」に基づく発明創出法が、その「課題」を起点に発明を考えようとするものであったのに対し、「コア技術の用途展開」に基づく発明創出法は、「解決方法」を起点に発明を考えるものです。
「コア技術」とは、事業の差別化の核となり、競合他社に対して、競争優位性を持つ技術のことです。
この「コア技術」を、今まで使っていなかった分野に用途を展開していくことで、新たな発明を生み出すことができます。
例えば、フィルムの会社がナノ技術を使ってインクをプリントし、鮮明な写真を作る技術をもって持っていたとします。
この技術をフィルム業界から、食品業界に展開し、ナノ技術を用いて栄養成分を吸収しやすくすることができたとすれば、コア技術の用途展開に基づき発明を行ったということができるでしょう。
この「コア技術」を特定するのが、各社苦労されるところではありますが、コア技術を特定することができれば、他の分野に用途展開をすることで、一つの事業を作り出すことができる可能性があります。
用途展開先発見法
それでは、具体的にどのような方法で、コア技術の用途展開先を探索していくと良いのでしょうか。
一つのツールとして、既に公開されている特許公報、公開公報を利用することができます。
現在商用の検索ツールでは、様々な検索方法で検索を行うことができるようになっています。
その中で、コア技術に関わるキーワードや、コア技術で解決できることを、検索キーワードに入れて、自社が今まで行ってきた以外の分野で検索を行うのです。
そうすることでヒットした公報は、自社がこれまで行ってきた以外の事業分野で、コア技術を用いて解決できる課題を持った分野の公報である可能性が高くなります。
もちろんノイズなども多く出てくる可能性がありますが、新たな事業を見つける上での一つの方法として使えるのではないでしょうか。
まとめ
今回は発明の創出について説明してきました。
発明の創出方法として、2つの方法を紹介いたしました。
一つは、課題発見に基づく方法でした。
これは、自社商品、他社商品を分析し、改善点を見つけることで、新たな発明を創出する方法でした。
もう一つは、コア技術の用途展開に基づく方法でした。
自社のコア技術を見極め、特許検索ツールを用いて、新たな用途展開分野を探索することで、新たな発明を創出する方法でした。
今回の内容が、少しでもあなたのお役に立てるようであれば幸いです。
今日という日が、あなたにとって良い一日となりますよう願っています。
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