発明提案書って何?|その意義や構成・書き方を解説

社内で「発明提案書」を作る仕組みがあるんだけど、
この「発明提案書」って、何なの?

発明提案書というのは、
発明者が作った発明の概要を記載する書類のことだよ。

へぇ~、そうなんだ。
でも、何でそんな書類を作る必要があるの?

そうだね。それじゃあ今回は、
発明提案書について詳しく解説していくよ。

企業で働く研究開発者、知財パーソンであれば、発明提案書(発明提案シート)といったものの存在は聞いたことがあるかもしれません。

しかし、実際には、その作り方や使い方、意義がよくわからないという方もいると思います。
ここでは、このような疑問についてお答えしていきます。

この記事でわかること

✓ 発明提案書と、これを作る意義について

✓ 発明提案書を作るメリット、デメリット

✓ 発明提案書の構成と書き方

目次

発明提案書とは

発明提案書は、発明者が、自身で行った発明の概要を記載し、知財化の提案を行う書類です。

発明者にとっては、自身が行った研究や開発を、発明という視点で整理することができます。
また、特許化などの知財化を行うに際して、知財部門や特許事務所に説明する資料として使うことができます。

一方、知財パーソンにとっては、研究者や開発者自身で発明をまとめてくれるので、発明の発掘の手間が省けます
また、発明の内容を詳しく聞いたり、特許明細書を作る際のベースとしたりすることができます。

このように、研究者・開発者や、知財パーソン、何れにとってもメリットのある仕組みだと言えるでしょう。

発明提案書のメリット、デメリット

発明提案書により発明発掘を行う場合と、直接発明者へインタビューをする場合とでの、メリット、及びデメリットを説明します。

発明提案書を作るメリットとして、次のことが挙げられます。

メリットデメリット
短時間で発明が把握できる
課題と解決手段の把握が容易
発明提案書には記載されていないが、大事な点が省略されている可能性がある

一方、直接発明者へインタビューを行う場合のメリット、及びデメリットとして、次のことが挙げられます。

メリットデメリット
発明者からじっくり話を聞くことができる時間と労力がかかる
課題解決手段の整理に手間がかかる

これらのメリットデメリットを考慮して、どのように発明発掘を行っていくかを考えると良いでしょう。

発明提案書の構成と書き方

発明提案書は、主に以下の構成からなっています。

  • 従来技術
  • 課題
  • 解決方法
  • 請求項案
  • 実験データ

「従来技術」の欄には、これまで公に知られている技術を記載します。
論文や、公知の特許文献などが挙げられるでしょう。

「課題」の欄には、発明において、どのような問題に直面し、どのような課題を解決しようとしたのかを記載します。

「解決方法」の欄には、前記課題に対して、具体的にどのような方法を用いて解決ができたのかを記載します。

「請求項案」の欄には、前記解決方法を、発明として捉えたとき、特許の請求の範囲としてどのようなものとなるかを記載します。
この記載は、発明者が記載できるのであれば記載してもよいですが、知財部門の方と相談する中で作成してもよいと思います。

「実験データ」の欄には、発明者が実際にどのような実験を行い、どのような結果が出たのかを記載します。

まとめ

今回は、発明提案書について説明してきました。

発明提案書は、発明者が、自身で行った発明の概要を記載し、知財化の提案を行う書類のことでした。

また、発明提案書は、発明者にとっても、知財部門の方にとっても、メリットがあるものでした。

発明提案書を記載するメリットとデメリット、及び、発明者に直接インタビューするメリットデメリットについても説明してきました。

そして、具体的に発明提案書の構成や書き方についても説明してきました。

今回の内容が、少しでもあなたのお役に立てるようであれば幸いです。
今日という日が、あなたにとって良い一日となりますよう願っています。

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この記事を書いた人

企業の知的財産部門で働く、理系出身の弁理士です。

知財分野に関わり始めた方が、これからさらに成長していくお手伝いができればと思い、このサイトを作りました。

[経歴]
・2007年 関西の大学院を修了
・2007年 食品会社で研究開発を行う
・2013年 食品会社の知的財産部門で働く
・2019年 弁理士試験合格
・2020年 弁理士登録
・2021年 ブログを執筆開始

知的財産の世界を、できる限りわかりやすくお伝えしたいと思っております。
皆さんに少しでも興味を持っていただけると幸いです。

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